漫画から学ぶ「チーム&リーダー」~医龍編~
こんにちは!私は袴田といいます。 いつもは大橋が書いているシリーズですが今回は私が大好きな漫画「医龍」について書かせていただきたいと思います。
■医龍とは
医龍は、2002年から2011年までビッグコミックスペリオールで連載されていた医療漫画です。ドラマ化もされており、第3シリーズまで続いた人気ドラマでした。 天才的な技術を持つ外科医・朝田龍太郎を主人公としたチーム医療のありかたや大学病院の問題点が描かれた物語です。
■医龍とIT業界
医龍は大学病院内の物語ですが個人的にはシステム開発にも通じる所がいくつかあると感じました。 特に似ていると感じたのは以下の2点です。
- 接客のある技術職である。
- スキルアップするには案件(患者)が必要である。
1つ目に関してですが、 以下は藤吉先生の名言です。
医者は病気を治すのでなく、病人を治すのだ!
システム開発においても技術的なことばかりに目をとらわれるのではなく、 お客様のビジネスやシステムを利用するエンドユーザのことまで考えなくてはいけませんね。
次に2つ目のスキルアップに関してです。 朝田先生はそもそもバチスタの症例を切るために明真大学付属病院に来ています。 難しい手術をやってみたいという願望は持っていると思いますが、以下のセリフを見てみると患者さんのことを最優先に考えています。
朝田先生「(バチスタの)患者はいるのかい?いなきゃどうにもならんぜ?」 加藤先生「何としても見つける!もうハッタリかましちゃったから後がないのよ・・・!!」 朝田先生「おいおい・・・ 言っとくが本当に手術が必要でなきゃ切らないぜ。」
以下は論文の為に状態のいい患者だけを手術しようとした加藤先生に言ったセリフです。
待ちに待った患者だと・・・・・・。勘違いすんなよ、患者が医者を待ってるんだぜ!
システム開発でも勉強熱心な人ほど勉強した技術を現場で試してみたい気持ちになるのではないでしょうか。 そのような時こそ、本当にそれはお客様のメリットになる技術なのか?見えていないデメリットはないか? と客観的に評価することが大切だと思います。
■どんなチームか?
バチスタチームのメンバーはこの方々です。 研修医の伊集院先生以外は、担当分野においてトップクラスの実力者揃いです。
- 朝田龍太郎:本作の主人公。天才外科医。バチスタチームのリーダーであり執刀医。
- 加藤晶:明真大学助教授にして心臓外科医。バチスタチームでは第一助手を務める。
- 伊集院登:心臓外科の研修医。バチスタチームでは第二助手を務める。朝田の指導を受け後に大きく成長する。
- 藤吉圭介:循環器内科医。患者の社会生活と治療にうまく折り合いを付けられる理想的な内科医。
- 荒瀬門次:状態管理のプロ。朝田のスピードについていける凄腕の麻酔医。
- 里原ミキ:オペ看(器械出し)のスペシャリスト。
イメージしやすいようにシステム開発の役割に当てはめると以下のような感じでしょうか? ミキは思いつかなかったので書いてません。
- 朝田 :プロジェクトリーダー
- 加藤 :プロジェクトマネージャ
- 伊集院:システムエンジニア
- 藤吉 :営業 OR システム運用技術者
- 荒瀬 :インフラ技術者
○一人ひとりが全力を尽くすチーム
難しい手術の第1助手を務めることになった伊集院先生を見て不安を感じた藤吉先生が 朝田先生に「いざとなったら手助けしてやるんだろうな?」と聞く場面がありました。 それに対しての朝田先生の返答です。
誰かが助けてくれるのがチームじゃねえ。死にものぐるいで全員の役に立とうとするのがチームだ。
チーム内で助けあうのは当たり前ですが、まずは個人が全力を尽くす事の大切さを感じさせてくれる一言です。
■どんなリーダーか?
○仕事ができる
朝田先生は天才外科医なのでとにかくズゴイです。ピンチに強く可能性が少しでもあるなら決してあきらめません。 作中では乳児のバチスタ手術中にバイパス手術もしなくてはいけなくなる場面がありました。 通常、乳児は血管が細いので顕微鏡を使いますが、この時はサージカルルーペしか装備していませんでした。 しかし朝田先生は患者の体力が再手術に耐えられないと判断し迷わず突き進みます。 以下はその時のセリフです
2つの大動脈が、この冠状動脈を圧迫して血流を止めてしまうなら― 新しい道を、俺が作る。
カッコよすぎです。これこそまさにリーダーシップじゃないでしょうか。 チームを牽引していくために自分の判断に自信をもって行動していくことが必要なんだと感じました。
また仕事ができるので周りのメンバーに「この人ならなんとかしてくれる。」と安心感を与えることができます。 以下は荒瀬先生の代わりに朝田先生がオペで麻酔を担当する場面での伊集院先生の心の声です。
この絶対的な安心感 おそらく加藤先生も感じているに違いない。
システム開発でも問題が発生した場合はプロジェクトリーダーに回って来ることが多いです。 問題をスムーズに解決することでメンバーの不安が軽減し、結果的に各々が力を発揮してくれるのではないでしょうか。 自分もこんな頼られるリーダーを目指して頑張りたいと思います。
○人を育てるのがうまい
物語の中では伊集院先生が成長する姿が描かれていますが、指導医の朝田先生の育成方法がとても参考になります。 順を追って見ていきたいと思います。まず最初にどうすれば成長できるのかを朝田先生は示しています。
教科書通りの症例など一つとしてない。だから外科医は実際に数を切ることでしか成長しない。
次にモチベーションがあがるような声かけをしています。無理やりやらせるのではなく、やりたいと思っている気持ちを本人に自覚させることが大切です。 以下は伊集院先生がバチスタチームに加入することを決意する場面です。
朝田先生「ヨォ 伊集院、ハラは決まったかい?」 加藤先生「OKだそうよ。」 朝田先生「あんたにゃ聞いてない!」 「どうせお前のことだ断ったら上ににらまれるとかつまんねー事ばっか考えてたんだろ。加藤は関係ない。言ったろ?お前の意思で決めろ。」 「3人だ。今のイメージじゃ10人中3人落とすかもしれない。だが伊集院、お前がいれば、2人に減るかしれん。」 「お前が必要だ、伊集院登。」 伊集院先生「よろしくお願いします!!」
次にスキルアップのチャンスを与えています。 物語の中では伊集院先生に経験を積ませるために助手につけたり、ERに連れて行き指導するなどして育てていきます。 伊集院先生は研修医なのでミスすることもあります。 手術中に損傷個所を見落とした際には、朝田先生は「歌でも歌って、落ち着いて探せ。」と言って落ちつかせながら 時間を稼ぐ処置をしてミスをフォローしていました。
その後、成長した伊集院先生を他の医師とは違うと言う加藤先生に対して朝田先生はこういいます。
思い出せよ。 成長したから信じたんじゃない。成長することを、信じたんだ。
これは医龍の中で私が一番好きなセリフです。
■まとめ
私は普段、プロジェクトリーダー業務をやっています。 もう4年位になりますがプロジェクトリーダーになりたての頃にこの作品に出会い感銘を受けました。 全巻経費で購入して、初めてプロジェクトリーダーやる人に読ませた方がいいんじゃないかと真面目に思う程の名作です。 読んだことがない方はぜひ読んでみて下さい。